夏の節電目標
最近ニュースで夏の電力不足がかなり深刻であることをよく耳にする。そこで、当然夏の節電に関することが気になるのだが、どの程度節電すればいいのだろうか。政府は「一般家庭の自主的な節電目標を15%~20%削減とする」と言っているが、それだけでは何となくピンとこない。
そもそも、この削減目標が実現可能かどうかもよくわからない。そこで、過去の消費電力について調べて、15%〜20%削減がどの程度のものなのか少し考えてみることにした。
ちょっと検索をしてみたところ「電気事業連合会」のwebページで、毎月の電力需要実績のデータを見ることができた。これによると、例えば昨年の8月の東京電力管内全体の消費電力合計は27,770,684,000 kwとなっている。その中で、一般家庭分の消費電力合計の大体の数値は「従量電灯」の項目でわかるようで、それをみると
- 2010年8月 従量電灯=6,817,956,000kw
である。これを基準にして単純に計算すると
- 2010年8月×0.8 =5,454,364,800kw
が、20%削減後の消費電力となる。この数値はどの程度のものなのか。例えば、消費電力が比較的少ないと言われている5月のデータと比較してみる。
- 2010年5月 従量電灯=5,336,206,000 kw
これは、8月の20%削減よりもさらに少ない。夏の暑さをどの程度我慢できるかはわからないが、5月よりはちょっと多めに使っても何とかなる、と思えば「15%〜20%削減は我慢すれば実現可能」と考えることはできるかもしれない。
また、ちょっと見方を変えて過去の8月の中で消費電力が少なかった2003年の数値を見てみる。
- 2003年8月 従量電灯=5,620,699,000 kw
この2003年は、記録的な冷夏となった年である。2010年8月と比較すると、約17.5%少ない。冷夏の悪影響についても考える必要があるかもしれないが、電力削減の観点で見ると、この年と同様の気候だったら我慢しなくても17%以上削減可能、ということができる。
このことから、15%〜20%削減という目標は「この冷夏の年と同程度の生活をすれば実現可能な目標」と言い換えることができるだろう。これくらい調べてみると、政府の言っている目標が具体的に見えてきたように思える。
また、こうやってみると「少しは節電のために我慢してみようかな」という気分にもなってきた。今年の夏は、計画停電の回数も少ない方がいいので、夏バテしないような対策もきちんと考えて節電を心がけるようにしよう。
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