毎回同じだが、ブログネタを探していたら、CNN(日本語)のサイトに「脳の萎縮予防、中年期の運動が決め手に 米調査」という記事が気になった。
というのは、結構前になってしまったが、今から2年半ほど前(2013年10月27日)のブログ「有酸素運動は脳にいい」のところで、「週3回40分の有酸素運動で(脳の)海馬が大きくなった」ということを書いて以来なんとなく脳と運動の話が気になっていたからだ。
今回の「萎縮予防」「運動が決めて」というタイトルも似たような話題の印象を受けるが、もう少し詳しく調べてみることにした。
記事によると「平均年齢40歳の約1500人にランニングマシンで運動してもらうテストを実施し、20年後に再度テストを行って、脳の状態を磁気共鳴断層撮影(MRI)装置で調べた」ところ「20年後、ランニングマシンの運動成績が良くなかった人は、脳が萎縮していることが分かった」と書かれていた。
今回の話も、言い方は異なるが逆説的に「運動がいい」ということを言っている気はする。ただ、よくよく読んでみるとMRIで調べたのは20年後だけのようで、20年前と脳の大きさを比較して萎縮してることを示した訳ではなさそうな気がするし、わからないことが出てきたので、今度はCNNの英語のサイト(元の記事)を確認することにした。
元の記事は「People who exercise at middle age might have bigger brains later on」というタイトルだった。直訳すると「中年の時にエキササイズしている人は後により大きい脳を持っているかもしれない」という感じだろうか。
内容は日本語のものとほぼ同じだったが、タイトルが日本語と英語で微妙にニュアンスが異なる気がする。また、さっき引用した部分のうち後半に該当する英語の文章を見てみると次のようになっていた。
The study found those who didn't perform as well on the treadmill test -- a sign of poor fitness -- had smaller brains 20 years later.
日本語の記事に考慮して訳すと「その研究(テストとMRIでの調査)で、ランニングマシンの運動成績が良くなかった人は、20年後、より小さな脳を持っていることがわかった」となるだろうか。他の部分も読んでみると、どうも今回の話は「脳が萎縮した」という話ではなくて、英語のタイトルにあるように「20年前に運動成績が良かった人と良くなかった人を比べると、良かった人の方が大きかった」ということだとわかってきた。
「より萎縮した」というのと同じ気もするが、よくよく考えてみるとちょっと違うと思う。というは、別に20年前の脳の状況については何も言っていないので、運動成績が良くなかった人はもしかしたら20年前からすでに脳が小さかったかもしれない。
実際、同じような記事が TIME のサイトで見つけることができた(「People Who Exercise May Have Bigger Brains」)が、そこに次のような記述があった。
People in the study only had brain scans at the end of the trial, which means the researchers couldn’t say whether their brains had gotten smaller over time.
直訳すると「その研究の人は、テストの最後の時だけ脳を調べただけなので、研究者は脳が時間経過によって萎縮したかどうかについて述べることはできない」とちゃんと書かれていた。
でも、運動で脳に良さそうだ、という研究成果自体はこれまでたくさんあるので、そういった過去の成果を加味すれば「萎縮予防に運動がいいかもしれない」ということが言えるだろう、という話が書かれていた。
ということで今回は運動と脳に関連したニュースを紹介した。まあ、結論は以前と同じだが、これまでの研究成果と違う点は、「20年前に運動能力が比較的高かった」ことが脳にいい、という点が明らかになったことかもしれない。
「まだ体力があるうちに、運動能力をある程度上げておく必要がある」という警告が含まれていると思えばもう少しわかりやすいか。とにかく少しずつでも運動能力が低下しないように努力する必要があるようだ。
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