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2015年2月 5日 (木)

ガラスは固体!?

 「ガラスが固体なのか液体なのか」という論争があるのをご存知だろうか。正直なところ、私は先週「京大、ガラスが確かに固体であることを示す有力な証拠を発見」というニュースをネットで見て始めて知った。

 この記事には「固体とは、分子が規則正しい配置に収まって移動しない状態を意味しているが、ガラスの分子は規則正しい状態には収まっておらず、非常にゆっくりと移動し続けている。そのため、ガラスは個体か液体かは明確になっていない」と書かれていた。

 何だか気になるのだが、この記事には少々間違いというか記者が勘違いして記事を書いた部分が含まれているようだ。ということで、もう少しきちんと(正しく)書かれているサイトを探してみることにした。

 まずは、京都大学のサイトを見ると「ガラスは本当に固体か? -コンピュータシミュレーションと情報理論による予測-」というページがあった。

 そこに、詳しく書かれていた。まず、ガラスの分子が非常にゆっくりと移動し続けている、という点については「ガラスの場合それが本当にゆっくりであるため、例えば窓ガラスが知覚できる程度に流れるには千年以上かかるとも言われています」と書かれていた。

 要するに、「分子が移動し続ける=流れる」ということだが、ガラスの場合は水のようにすぐに流れてなくなってしまう訳でもないようで、人が見て「流れてるな」と思えるくらいに変化するのに千年以上かかる、ということのようだ。

 まあ、生きている間は流れてなくなることはなさそうだし、普通に生活している分には「ガラスは固体」と思っていて差し支えない感じだが、科学者にとっては、「固体」と思うからには証拠が必要、というのがこの研究の趣旨ということになるだろうか。

 そして、このページの終わりの方に、「1952年 Charles Frank 卿(ブリストル大学HH Wills 物理学研究所)により(ガラス分子の)安定構造として予見された正20面体」と題した正20面体の図とともに

「本研究チームは、コンピュータシミュレーションと情報理論とを組み合わせた研究を行いました。その結果、ガラス状態にある物質中では、固体的領域と液体的領域が混在するものの、低温・高密度になるにつれて固体的領域のサイズが増大し、その領域では分子がある特定の幾何学的構造(例えば図の正20面体)に組織化されていることを発見しました。この結果はガラスが確かに固体であることを示す有力な証拠となります。」

と、研究成果を説明されている。当然千年以上も観測することは不可能だが、ここではコンピュータシミュレーションや情報理論などを駆使して研究を行っている。

 また、もう少し調べてみると、「特定の幾何学的構造」という点について、いろいろな研究があることがわかった。今回の話とは別の研究だが、1年半ほど前に東北大学の研究チームが「ガラスは歪んだ20面体で埋めつくされている」という研究成果を発表していた。

 ここには、この東北大学の研究チームが「ガラス物質の20面体局所構造を直接観察することに世界で初めて成功し、その形が非常に歪んだ20面体となっていることを明らかにしました」ということが発表されていた。

 ガラスの分子は、20面体ではあるが、1952年の段階で予見されていた正20面体ではなく、歪んでいるらしい。また、それに加えて「数学的手法であるホモロジー解析を適応し、歪み方の似ている20面体がつながることで、ガラス構造に特徴的な不規則で密な構造をとっている可能性を示しました」という研究成果も書かれていた。

 こちらは、観察と数学の理論を組み合わせて得られた成果、ということのようだ。

 ということで、今回は、ガラスの分子構造を科学的に考察する研究を紹介した。科学的な考察に情報理論や数学の理論などが重要な役割を果たしているところが興味深い。今回、このネタを調べたのは初めてだったが、とっても面白そうなので、今後も何かあったらブログに取り上げていくことにしたい。

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