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2015年2月

2015年2月25日 (水)

(本の紹介)世界でもっとも強力な9のアルゴリズム

 今回は、久しぶりに本を1つ紹介しようかと思う。タイトルは「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」。

「アルゴリズム」というと、ピタゴラスイッチのアルゴリズム体操を思い浮かべる人がいるかもしれないが、ここではそのことは忘れてほしい。

 wikipediaを見ると、「アルゴリズム」とは「数学、コンピューティング、言語学、あるいは関連する分野において、問題を解くための手順を定式化した形で表現したもの」と書かれている。

 最近では、コンピュータなどインターネットなど、ITの分野をより便利にするために重要なものとして、「アルゴリズム」という言葉が聞かれるようになってきたと思う。

 この本の内容も

・検索エンジンのインデクシング
・公開鍵暗号
・データ圧縮
・デジタル署名

など、IT分野で出てくるものの仕組み=アルゴリズムをわかりやすく説明している。

 ちなみに、この手の本は他にもあるが、この本はたくさんの具体例を使って「どんなアイディアを使っているのか」をすごく丁寧に説明している、というのが他の本との違いだろうか。

 実際には、ものすごく遠回りに廻りくどく感じるくらい丁寧だ。「何でそんな本を紹介するのか」と思うかもしれないが、実際には、こういう本を読んだ方が理解は深まるはずだ。

 あと、この本の特徴は、もう一つある。それはこの本の終わりの方に

・決定不能性

について触れられていて、「コンピュータがクラッシュするかどうかを完全に検出するプログラムを作ることは不可能」という話を具体例を使って証明している。

 現実には、自動ソフトウェアチェックツール、というプログラムのエラー検出の技術は発展していて、最近はコンピュータがクラッシュすることが少なくなった、という点はこの本でも指摘されているが、いくらアルゴリズムが発展しようと完全にクラッシュをなくす事は不可能、という話が最後に来ているのが面白い。

 数学が好きな人は、以前このブログでも紹介した「不可能、不確定、不完全―「できない」を証明する数学の力」の話を合わせると、いろいろ考えさせられることが見えてくるかもしれない。

 ということで、今回は本の紹介をした。正直なところ、IT関連の話を期待した人が読むと「話が何だか廻りくどくて、、、」と思うかもしれない。しかし、それがいい、というのが個人的な感想だ。

 実際、インターネットで検索すると、一瞬のうちにパッと結果が出てくるが、そこで使われている事は、数学的な内容を含めて、そんなに一瞬のうちにパッと理解できる事ではない。こういった本を読んで、そういう雰囲気を感じることができればいいと思う。

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2015年2月20日 (金)

MindUPで数学の成績アップ!?

 今回は、久しぶりに英文誌TIMEからネタを探そうと思って、最近数ヶ月ほどのTIMEの最初の方にある「Briefing」のページを見ていた。

 ちなみに、これまでのブログにも、このページからネタを見つけて

チーターロボット(2014/9/23)
TIMEに載っていた小さな記事(2014/2/20)
疲れが溜まってきた(2013/6/29)

の文章を書いている。

 その「Briefing」にひとつ気になる数字、というか記事があった。具体的には、TIME(ASIA)の2015年2月9日号で、その部分を引用すると、

15%
Improvement in fourth- and fifth-graders' math score after they participated in a meditation-mindfulness program vs. those who didn't, according to a study.

と書かれていた。訳すと、

ある研究によると、「a meditation-mindfulness program」に参加した小学4年生と5年生の数学の成績が、参加しなかった人と比べて15%良くなった

という感じになるだろうか。数学の成績が良くなった、という「a meditation-mindfulness program」とは一体なんだろうか。気になったので、少し調べてみることにした。

 まず、TIMEのwebサイトに「Mindfulness Exercises Improve Kids' Math Scores」という記事があった。

 そこを見ると、「研究者は、MindUPと呼ばれる社会学習・感情学習のためのプログラムの効果をテストしたかった」と書かれている。どうやら、この「MindUP」というのが、「a meditation-mindfulness program」のことのようだ。

 「mindfulness」という単語は、直訳すると「注意深さ」とか「心の集中」といった意味だが、もう少し狭い意味では、仏教用語の「念」の英語訳としても使われているようだ。

 別に、学校で念仏を唱えていた訳ではなさそうだが、もう少し調べてみると、記事に紹介されている研究者のいる大学のサイトにMindUPの案内があって、そこには小学生たちが座って瞑想らしきことをしている写真も載っていた。

 要するに、このプログラムは、別に勉強に関連するものではなく、子供たちの心を落ち着かせて、社会性や感情コントロールなどを身につけさせよう、という目的のものらしい。

 で、この記事では、4ヶ月間プログラムを受講した子供たちは、受けてない子供たちに比べて、社会性や感情コントロールの能力が実際に向上することが確かめられた、と結論付けられていて、数学の成績も上昇したことは、付け足しのように書かれただけであった。

 この調査をした研究者が確かめたかったのは「社会性や感情コントロールの能力を身につけさせる効果」だけかもしれないのだが、何故か記事は数学の成績上昇のことをメインに伝えているのが面白い。

 ということで、今回はTIMEに載っていた、気になる記事について調べてみた。実際には、数学とはあまり関係がない記事だったが、「注意深く心を集中させて、感情をコントロールしながら数学に取り組めば成績が上がるかもしれない」ということ自体は、正しそうな気がする。

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2015年2月15日 (日)

人工知能でカンニング発見

 いろいろ仕事が忙しかったりすると、ブログのネタを探しても、うっかりして書きそびれてしまう事がある。前回紹介した惑星に関するニュースでも、正直なところ1月後半に見かけたものだったが、うっかり書きそびれないようにまとめてニュースを紹介した。

 実は他にもあったのだが、今日のブログのネタを探していたときに、うっかり書きそびれてた事をひとつ思い出した。1月16日の新聞に「人工知能でカンニングを発見 京大などがプログラム開発」という記事が載っていた。

 記事によると「これまで教員の経験に頼っていた手法を取り込み、高い精度で自動的に見つけ出せるという」と書かれていた。何だか凄そうな感じで、これを見たときにも何だか気になったのだが、忙しくて調べる時間がなかったこともあって、うっかり忘れてしまっていた。

 今日、せっかく思い出したので、この話題を紹介したい。京都大学のサイトを見ると、この話題が「機械学習によるカンニングの検出技術の開発」というページで紹介されていた。

 このページを読むと「この研究は情報学科の演習授業を発展させたものです」と書かれていた。大学の演習授業で先生が「カンニング検出のアイデアが今僕の頭の中にある。その実現を最終課題にする。」と言ったところ、その課題にさまざまな工夫を凝らして試してくれた学生がいたらしい。この先生と学生が中心となって得られた研究成果のようだ。

 で、内容は「機械学習」と呼ばれる、大量のデータからそのデータ間に存在する関係性を自動的に捉える技術を用いるそうだ。具体的には

「まずはカンニングをしている度合いが小さい順に「この被験者はカンニングをしていない」と確信して、その後の観察ではカンニングを疑わず、残りの被験者については、先入観を持たずに同様の観察を続けます」

と書かれていた。

 先生から見ると「カンニングをしている人を特定する」という点に注目しがちだが、そうではなく、学生の視点から「カンニングをしていない人を特定する」という方向からアプローチしたのが良かったようだ。

 ちなみに、「機械学習」というのは、wikipediaによると「人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする技術・手法のこと」と書かれている。何だか、今イチ、ピンとこない説明だが、もう少し見てみると、「データマインニングとの関係」のところで

「機械学習の目的は、訓練データから学んだ「既知」の特徴に基づく予測である」

という文章を見つけた。もう今から4年も前になるが、ブログを始めたばかりのころ「学習って何?」という文章をブログに書いた事がある。

 そのときに『「勉強や研究」「経験」「教わる」ということで知識や技能を得ていくこと』ということが「学習」の意味としてふさわしい、という話をしていた。

 まあ、「勉強や研究」はともかく、人間にとっての「経験」「教わる」がコンピュータでは「訓練データ」「学んだ既知の特徴」に変わるが、それに基づいて何か予測し知識や技能を得ていく、というのが「機械学習」ということになるだろうか。

 ということで、今回は「人工知能でカンニングを発見」というニュースを紹介した。実のところ「カンニングを発見」と言われると、何となくコンピュータに試験中ずっと観察されているというのを予想したが、ちょっと違うようだ。

 コンピュータを使って「カンニングをしていない人」を特定して、そうじゃない人だけを観察するようだから、別に悪い事を何もしていない人は気にせず自分自身の試験に集中すればいい。そういう気分になれる技術、というのが何となくいい感じだ。

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2015年2月10日 (火)

最近見かけた惑星に関する話題

 なんだか、最近宇宙に関連する小さなニュースが目立たないながらも少し増えているような気がする。ということで、今回はブログに書きそびれないように、そのなかから、今年に入ってから見かけた惑星に関連するニュースをいくつか紹介したいと思う。

(1)
 まずは、1月20日にAFPBBのサイトに載っていた「太陽系に未発見の惑星2つ?天文学者ら」という記事から。冥王星が太陽系の惑星の中から外されたため、現在は水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の8個が太陽系の惑星とされているが、この記事によると、スペインとイギリスの天文学者が「まだ、あと2つ惑星があるはずだ」という研究成果を発表したらしい。

 ずいぶん前になるが、1年半ほど前の一昨年(2013年)9月にブログで紹介したニュースの中で「「太陽風の届く範囲」というのは、太陽から冥王星までの平均距離の約3倍もあって、その範囲全体が「太陽系」となるらしい」と書いていた。また、去年(2014年)4月にブログで紹介したニュースでは「太陽系の端に新たな準惑星発見」という話題について書いたが、そんなに遠くない時期に「新しい惑星発見」というニュースが報道される可能背があるかもしれない。

(2)
 次は、1月28日の「地球サイズの惑星公転、観測史上最古の恒星発見 国際チーム」というニュース。ケプラー444と命名されているその恒星とそこを公転している惑星を合わせた恒星系は約112億年前に形成されたと考えられる、と書かれていた。

これまでも、「ケプラー??」(??は番号)と名付けられた星をブログでいくつか紹介してきた。(「1200光年先の惑星」「惑星発見のニュース」)

 そのときに紹介した話題は、ともに地球に似た惑星発見、というニュースだった。今回も「地球サイズの惑星」ということで、ニュースになったのだろうか。ただ、前の2つとは違って、今回のニュースの惑星は高温過ぎて生命の存在には適さないようだ。

 ただ、地球サイズの惑星が、宇宙誕生間もない約112億年前から形成されていたことがわかった、という事実が大きいようだ。だから、そこには生命がいなくても、他にたくさん地球サイズの惑星が存在している可能性が高く、その中には、地球と同様に生命が存在するものがあるかもしれない。実際、発表した科学者は「これは、銀河系内に古代生命が存在した可能性の余地を与えるかもしれない結果だ」と述べている。

 ということで、今回は宇宙に関連するニュースを2つ紹介した。実のところ,このままだと折角1月に面白そうなネタがあったのに書きそびれてしまうと思い、今回ブログに書いておくことにした。

 こういう話題は年に数回しか見かけないのだが、最近少し増えているような気もする。少し研究に進展があったのだろうか。また、見かけたらブログに紹介していきたいと思う。

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2015年2月 5日 (木)

ガラスは固体!?

 「ガラスが固体なのか液体なのか」という論争があるのをご存知だろうか。正直なところ、私は先週「京大、ガラスが確かに固体であることを示す有力な証拠を発見」というニュースをネットで見て始めて知った。

 この記事には「固体とは、分子が規則正しい配置に収まって移動しない状態を意味しているが、ガラスの分子は規則正しい状態には収まっておらず、非常にゆっくりと移動し続けている。そのため、ガラスは個体か液体かは明確になっていない」と書かれていた。

 何だか気になるのだが、この記事には少々間違いというか記者が勘違いして記事を書いた部分が含まれているようだ。ということで、もう少しきちんと(正しく)書かれているサイトを探してみることにした。

 まずは、京都大学のサイトを見ると「ガラスは本当に固体か? -コンピュータシミュレーションと情報理論による予測-」というページがあった。

 そこに、詳しく書かれていた。まず、ガラスの分子が非常にゆっくりと移動し続けている、という点については「ガラスの場合それが本当にゆっくりであるため、例えば窓ガラスが知覚できる程度に流れるには千年以上かかるとも言われています」と書かれていた。

 要するに、「分子が移動し続ける=流れる」ということだが、ガラスの場合は水のようにすぐに流れてなくなってしまう訳でもないようで、人が見て「流れてるな」と思えるくらいに変化するのに千年以上かかる、ということのようだ。

 まあ、生きている間は流れてなくなることはなさそうだし、普通に生活している分には「ガラスは固体」と思っていて差し支えない感じだが、科学者にとっては、「固体」と思うからには証拠が必要、というのがこの研究の趣旨ということになるだろうか。

 そして、このページの終わりの方に、「1952年 Charles Frank 卿(ブリストル大学HH Wills 物理学研究所)により(ガラス分子の)安定構造として予見された正20面体」と題した正20面体の図とともに

「本研究チームは、コンピュータシミュレーションと情報理論とを組み合わせた研究を行いました。その結果、ガラス状態にある物質中では、固体的領域と液体的領域が混在するものの、低温・高密度になるにつれて固体的領域のサイズが増大し、その領域では分子がある特定の幾何学的構造(例えば図の正20面体)に組織化されていることを発見しました。この結果はガラスが確かに固体であることを示す有力な証拠となります。」

と、研究成果を説明されている。当然千年以上も観測することは不可能だが、ここではコンピュータシミュレーションや情報理論などを駆使して研究を行っている。

 また、もう少し調べてみると、「特定の幾何学的構造」という点について、いろいろな研究があることがわかった。今回の話とは別の研究だが、1年半ほど前に東北大学の研究チームが「ガラスは歪んだ20面体で埋めつくされている」という研究成果を発表していた。

 ここには、この東北大学の研究チームが「ガラス物質の20面体局所構造を直接観察することに世界で初めて成功し、その形が非常に歪んだ20面体となっていることを明らかにしました」ということが発表されていた。

 ガラスの分子は、20面体ではあるが、1952年の段階で予見されていた正20面体ではなく、歪んでいるらしい。また、それに加えて「数学的手法であるホモロジー解析を適応し、歪み方の似ている20面体がつながることで、ガラス構造に特徴的な不規則で密な構造をとっている可能性を示しました」という研究成果も書かれていた。

 こちらは、観察と数学の理論を組み合わせて得られた成果、ということのようだ。

 ということで、今回は、ガラスの分子構造を科学的に考察する研究を紹介した。科学的な考察に情報理論や数学の理論などが重要な役割を果たしているところが興味深い。今回、このネタを調べたのは初めてだったが、とっても面白そうなので、今後も何かあったらブログに取り上げていくことにしたい。

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