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2014年9月18日 (木)

算数教育と言語

 先週、「英語は算数に不向き」という日経新聞のサイトにある記事を見つけた。

 何でも、例えば「1から10まで」の単語の他、英語では「11」を「eleven」という別の単語を使っていたり、「17」の英語「seventeen」は(先にsevenを発音するため)子どもたちが「71」と取り違えやすい、ということなど、英語特有の言い回しが算数に不向きだ、という話のようだ。

 何だか気になる話だったので、少し調べてみることにした。元ネタは、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルの「The Best Language for Math」という記事のようだ。

 そこを読むと、特に、日本語、中国語、韓国語、トルコ語などのアジアの言語と比べて、英語は数を表す単語(数詞)や言い回しが子どもにとって複雑すぎる、といった話などを含め、確かに日経新聞のサイトにあった内容が書かれていた。

 また、元ネタのウォール・ストリート・ジャーナルの記事には、もう少し具体的に「それによって、何が問題になるのか」という点についても書かれていた。

When doing multi-digit addition and subtraction, children working with English number names have a harder time understanding that two-digit numbers are made up of tens and ones, ...

 訳すと『2桁以上の足し算や引き算をするとき、英語の数詞を使う子どもたちは(特に11から20までは1つの単語で表されるため)「2桁の数は10の位と1の位から出来ている」ということを理解するのに時間がかかる』という感じだろうか。

 例えば、「11+2」を計算するとき、日本語で「じゅういち たす に」ときたら、「いち」と「に」を足して「さん」で、(位上がりがないため)「じゅう」はそのままだから「じゅうさん(13)」と、言葉で説明するだけで理屈も素直に理解できそうだ。

 実際、子どもたちは最初に「数詞を順番通りに言って覚える」ことを行って、その後に足し算や引き算を教わることになるので、「先生から言葉で説明される → 子どもたちが覚えた数詞を使って理解する」ということが日本語では自然に出来そうな気がする。

 一方、英語で「eleven plus two」と言われたらどうだろう。英語で言われたら、「eleven」が2桁の数字(11)かどうかとか、(2桁の数字だとわかったとしても)1の位が「1(one)」かどうかなんて覚えていないとわからないし、しかも、答えの「13」も別な単語の「thirteen」だ。

 言葉と理屈がリンクしていないから、子どもたちが数詞を順番通りに言って覚えたとしても、「2桁の数」とか「10の位と1の位」といった概念を別に覚えなければ、2桁の足し算を理解するのは難しそうだ。

 ただ、この現状をほったらかしている訳でもないようで、元ネタのウォール・ストリート・ジャーナルの記事の最後の方には「The make-a-ten method」という言葉が現れる。

 「10ずつ(の束)をひとまとめにして考える方法」ということを表す言葉のようだが、日本語のように数詞を覚える段階で自然に身に付けることができないため、こうした概念を別に教えるために使われる言葉のようだ。

 数えるときは別々の単語で覚え、計算をするときには「The make-a-ten method(10ずつひとまとめ)」を使え、という感じで、英語では「数の単語(数詞)」と「数の概念」を別々に教えることになるのだろう。

 ということで、今回は、英語と算数の関係に関する新聞記事を紹介した。実際にアメリカなどと比べて日本など東アジアの国々の方が子どもたちの算数の能力が平均して高い、ということも事実のようだし、確かに、ここに書かれていることは正しいと思う。

 しかし、「数の単語」と「数の概念」を別々に理解することも重要で、そういう教育が日本の算数教育に欠けている、という見方も出来るような気もする。

 そんなことを考えながら、今回はここまでにしよう。もう少し時間があるときに、またこの話についていろいろ考えてみるのも悪くなさそうだ。

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