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2013年12月10日 (火)

PISA2012の結果

 先週の12月3日、経済協力開発機構(OECD)が2012年に実施したPISAの結果を発表した、というニュースがあった。PISAというのは、「Programme for International Student Assessment」の略で、日本語では「学習到達度調査」と訳されている。

 世界のOECD加盟の65カ国・地域の15歳約51万人を対象に行われたものだが、ニュースによると、日本は前回の2009年と比較して結果が上昇したらしい。具体的には、毎日新聞の記事を引用すると、

『「数学的リテラシー」「読解力」「科学的リテラシー」の全3分野で改善し、順位でも数学が7位、読解力と科学が4位』

だったそうだ。この結果について、文部科学省では「少人数教育の推進やゆとり教育からの脱却、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)などの取り組みの成果」などと言っているらしい。また、毎日新聞には『V字回復』などと書かれているが、本当にそんなによくなったのだろうか。

 こういうときには、やはり直接2012年PISAの結果が公表されているWebページを見たくなる。見てみると、このページには、全体のテスト結果の他、各国それぞれに焦点を当ててテスト結果をまとめた文書もあり、日本の結果も日本語で公開されている。

 その文書を引用すると、日本の結果は次のように書かれていた。

『日本は、数学的リテラシーにおいて 7 位、読解力と科学的リテラシーにおいて 4 位であり、統計的に考えられる順位の範囲は、数学的リテラシーにおいて6~9位、読解力において2~5位、科学的リテラシーにおいて3~6位である。』

 日本で報道されているのと違うのは、「統計的に考えられる順位の範囲」が書かれている点だ。例えば、数学は日本は7位だが、実際には6~9位は差がない、ということだ。

 ちなみに、前回の2009年は、数学の日本の順位は9位だったが、統計的に考えられる順位の範囲は8~12位だったそうだ。こうしてみると、2つくらい順位が上がったところで、別に前回と大差ない、というようにも見える。

 また、「数学」の統計的に考えられる順位に含まれる国・地域を並べてみると、

2012年:6~9位
マカオ、日本、リヒテンシュタイン、スイス

2009年:8~12位
スイス、日本、カナダ、オランダ、マカオ

で、スイスやマカオとともに、今回(2012年)は前回(2009年)のレベルを維持することはできた、という見方が正しそうな気がする。

 実際、今回の日本の結果についてOECDがまとめた文書を見ると、前回の8位から4位に上昇した「読解」について『2009 年から 2012 年間に統計的に有意なレベルで向上している』と述べているだけだ。

 こうやってみると、日本で報道されているような『全3分野で改善』『V字回復』はちょっと言い過ぎで、そんなに手放しに喜ぶような結果とまでは言えないように思えるが、どうだろう。

 ということで、今回は先週公表されたPISAの結果について書いてみた。まあ、何となく「本当にそんなに良くなったの?」という疑問に基づいて文章を書いてみたが、ここ10年来の学力低下に歯止めがかかった、ということは言えると思う。

 これが文部科学省が言っているような取り組みの成果かどうかはわからないが、順位がちょっと上がったくらいで一喜一憂せず、学力低下に歯止めがかかったと認識しつつ、今後の向上に努力していく必要がありそうだ。

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