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2013年10月11日 (金)

国際成人力調査(PIAAC)

 おとといの新聞に、「読解と数的思考力 日本1位」という見出しの記事を見つけた。何でも、16歳から65歳を対象に、経済協力開発機構(OECD)は主に先進国の24カ国・地域で2011年から2012年に「国際成人力調査(PIAAC)」というものを実施したそうだ。

 その調査は、社会生活で求められる能力の習熟度測定を目的として、16歳から65歳までの人の「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野の能力(スキル)を測定し、さらにアンケートを基に統計的に分析したものらしい。

 記事によると、その調査で「読解力」と「数的思考力」で、日本は平均点が参加国中のトップだった、と書かれている。ただ、この手の話はいつもそうだが、日本では「点数が高いかどうか?」「他国と比べてどうか?」などということが話題になっているようだ。

 そんなこともあるので、記事を見ると日本の成績が良かったとの印象を受けるが、実際どうなのかが気になってきる。そこで、もう少し詳しく調べてみることにした。

 調べてみると、「OECD国際成人力調査(PIAAC)調査結果の要約」という文書が公開されていた。それによると、この調査の目的は

「成人を対象に、読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力の3分野のスキルを直接評価すること。」 「学校教育や職業訓練等が、成人のスキル習熟度とどの程度関係しているや、成人のスキル習熟度が、様々な経済的・社会的アウトカムとどの程度関係しているか等を検証し、政策立案に活用すること。」

と書かれている。要は、スキルを直接評価した上で、その評価と実際の教育や経済・社会の現状を比較検証することが目的のようである。

 また、調査結果は0点から500点までの点数で示され、さらに点数に応じて習熟度レベルを「読解力」「数的思考能力」では5段階にわけて評価している。

 その習熟度の結果は記事には全く触れられていなかったが、この文書に書かれていて、「読解力」「数的思考能力」の最も高いレベル5の人の割合が高い(トップレベルの割合が多い)国は

「読解力」
フィンランド(平均288) = 2.2%
オーストラリア(平均280) = 1.3%
オランダ(平均284) = 1.3%
スウェーデン(平均279) = 1.2%
日本(平均296) = 1.2%

「数的思考能力」
フィンランド(平均282) = 2.2%
スウェーデン(平均279) = 1.9%
ノルウェー(平均278) = 1.7%
デンマーク(平均278) = 1.7%
ベルギー(平均280) = 1.6%

と書かれていた。「やっぱり」という印象だが、日本は平均点は高いが、トップレベルの割合は思ったほど多くないようだ。まあ、フィンランドでも、レベル5の割合が2.2%だから、どこの国でもトップレベルの層はほんの一握りのようだが、日本は平均が高い割にトップレベルの層が相対的に少ない印象を受ける。

 次に、記事では日本の結果が悪かったと書かれていた「ITを活用した問題解決能力」について。記事によると、基準の得点を超えた割合が日本は35%で参加国中10位だった、と書かれている。何だかパッとしない結果のように思えるが、習熟度別で見るとどうだろうか。

 こちらの方の習熟度は3段階に分けられていて、最も高いレベル3の割合は次のようになっていた。

「ITを活用した問題解決能力」
スウェーデン = 8.8%
フィンランド = 8.4%
日本 = 8.3%
オランダ = 7.3%
カナダ = 7.1%

 こうやって見ると、日本の結果は悪くないじゃないか、と思ってしまう。上位3カ国の8%以上中に日本が入っていて、4位以下を大きく引きはなしているようだ。

 もう少し見てみると、記事に書かれていた「基準の得点を超えた」というのは「レベル2以上」を意味するようで、実際「レベル2とレベル3を合わせた人」の割合は日本はそれほど高くない。

 要するに、「ITを活用した問題解決能力」では、「読解力」「数的思考能力」とは逆に「平均はそれほどよくないが、トップレベルの割合は多い」という結果のようだ。これは、日本の実情を表す結果が出ているようで、とても興味深い。

 ということで、今回は「国際成人力調査(PIAAC)」というものをとりあげてみた。日本では「平均」を使って物事を評価することが多いが、こうやって見方を変えて「トップレベルの割合」で評価してみると、いいと思っていたものが実はそうでもなかったり、逆に悪いと思っていたものが実は良かったり、と評価が少し変わってくることがわかる。

 実際、この調査の目的にある「政策立案に活用」ということを主眼に考えると、偏った見方ではなく、いろいろな角度から評価することが非常に重要だと思う。

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