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2012年9月 2日 (日)

ハーバード大でカンニング?

 昨日、今回のブログのネタは何にしようかと考えながら新聞を見ていたら「ハーバード大で大量カンニング?」という記事を見つけた。カンニングと言えば、日本では1年半ほどまえにも京都大学の大学入試のときのカンニングの話をこのブログでもとり上げたことがある。

 今回のものは、授業の期末試験での話だが、新聞記事をよく読んでみると「問題を持ち帰って解き、提出する形だった」と書いてあり、通常の試験とは異なるようだ。そもそもこれは試験なのか、などなど、気になることが出てきたので、いろいろと調べてみることにした。

 そこで検索してみたら、CNNのサイトにあった「Allegations of widespread cheating in government class probed at Harvard」という記事を見つけた。それによると、全部で279人が受講している「Government 1310:"Introduction of Congress"」という授業で行われたテストで起こったことらしい。また、よく見てみると実際のテストのPDFファイルへリンクが張られていた。

 そのファイルは「Gov 1310-Final Exam」というタイトルで、日付は2012年4月26日になっている。そして、最初の方を読むと「2012年5月3日の午後5時までに提出すること」などと書かれていて、さらに

・The exam is completely open book, open note, open internet, etc.

となっている。要するに、1週間程度の間に持ち帰って解くが、その際には本・ノート・インターネット等、何を見てもいい、ということだ。それに続けて

・However, in all other regards, this should fall under similar guidelines that apply to in-class exams. More specifically, students may not discuss the exam with others – this includes resident tutors, writing centers, etc.

と書かれている。要約すると、「教室で行われる試験と同等のガイドラインを遵守するべき」「他の人と試験について議論してはいけない」ということだが、だれかが監視している訳ではなさそうなので所謂「紳士協定」といった感じにも受け取れる。

 次に、「The Harvard Crimson」というハーバード大学の学生新聞の「Harvard Investigates "Unprecedented" Academic Dishonesty Case」というタイトルの記事。こちらはハーバード大学の学生が書いただけあって、もう少し詳しく書いてあり、学生らの話が載っている。具体的には、

・he or she joined about 15 other students at a teaching fellow’s office hours on the morning of May 3, (中略) one of the questions asked us about a term that had never been defined in any of our readings and had not been properly defined in class, so the TF had to give us a definition to use for the question.

と書かれている。要するに、「試験の問題の一つの中に授業で明確に定義や説明がされなかった言葉が使われていたが、5月3日(試験提出締切日)の朝、ある学生たちが約15人の他の人と一緒に相談にいったら、TF(teaching fellow)の人が問題で使われている言葉の定義を教えてくれた」という感じだろうか。

 ところで、この試験は「students may not discuss the exam with others」、すなわち他の人と試験について議論することを認めていない。個人的には学生の気持ちがわからない訳ではないが、この学生新聞に書かれていることが事実だとしたら、これに違反していることになるだろう。

 ただ、この場合、言葉の定義を学生たちに教えたTF(teaching fellow)にも問題はあると思う。だいたい、TFだってハーバード大学の試験の形式等はわかっているはずなのだから、たとえ学生が試験とは無関係の質問をしている可能性があったとしても「この質問内容が試験問題に関わることなら答えることはできない」とか「こういう試験では問題について話をすることが禁止されていることが多い」などと忠告するべきだろう。

 学生の不正行為については、いろいろな意見があるかもしれないが、やはり試験の際には不正されることを未然に防ぐことが重要だと私自身は考えている。そういう意味で、今回の問題は確かに不正をした学生は悪いのだが、それ以前に未然に不正を防ぐ手だてを何もしていない大学にも責任があるような気がする。

 さすがに日本では試験といえば普通は教室で行うし、持ち帰って行う課題は試験とは区別して「レポート」として提出するのが一般的なのでこのような中途半端な形式での試験はないだろうが、教える側だけでなく第3者的な立場の人たちも「不正を未然に防ぐ」という感覚で学生に接するべき、ということは日本でも同様だろう。

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