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2011年10月30日 (日)

「単位」の定義

 原発の事故から半年以上たった。事故が起こった当初は「シーベルト」「ベクレル」などの単位がニュースで出るたびに「単位の由来は何だろう?」「その単位は何を基準に決められたのか?」など、いくつも気になることがあったような気がする。しかし、最近ではこれらの単位が当たり前のようにニュースに出てくるからか、そのような疑問もすっかり忘れてしまっていた。

 それを思い出したのは、書店でいつものようにブラッとしながら本棚を眺めていたときに「単位171の新知識」という講談社ブルーバックスシリーズの本が気になったからである。単位の辞書、いった感じの構成になっている本で、それぞれの単位について軽く説明がついているだけなのだが、ちょっとした空き時間の暇つぶしに丁度いい感じだと思って購入してみた。

 この本によると「ベクレル」も「シーベルト」も人物名にちなんで名付けられた単位なのだそうだ。他にも放射能関連では「キュリー」「レントゲン」「グレイ」などの単位が並んでいるが、これらも人物名がそのまま単位の名前になったものである。ただ、「国際単位系の放射能の単位はベクレルですから、ベクレルを使用する方が望ましいです」と書いてあるので、普段のニュースでも「ベクレル」の単位を使っているのだろう。

 また、この本には、放射能関連のみでなく、様々な事柄の「単位」が載っている。例えば、時間の「秒」の単位。何となく素人考えだと、地球の自転や公転が基準になっているような気がするが、そうではない。国際単位系の「1秒」の定義は、この本によると「セシウム133の原子の基底状態における、2つの超微細構造準位の間の遷移に対する放射周期の、91億9263万1770倍の継続時間」なのだそうだ。

 専門家ではないので何を言っているのかさっぱりわからないが、意外に思ったのが「セシウム」が基準になっているところである。最近、ニュースでよく聞くが、基本的に悪者扱いであまりいいイメージがない。別に「1秒」の基準に使われているからというだけでイメージがよくなる訳ではないが、世の中にある物質は、どんなものでも何らかの意味があって存在している、ということを改めて認識させられる。

 他の身近で重要なものとしては、重さ・質量の「kg」の単位。この定義は「国際キログラム原器の質量」となっている。実際の「国際キログラム原器」は白金90%、イリジウム10%の合金製で、1889年の第1回国際度量衡総会で定められたものなのだそうだ。122年も前に定められたせいもあるかもしれないが、こちらの定義はわかりやすい。

 また、広辞苑によると「白金イリジウム」は「極めて固く、膨張率が小さいので、度量衡原器・万年筆ペン先に用いる」とあるように、少しでも変形すると困るものに使われているもののようである。ただ、この「イリジウム」も放射線を出す物質だったような気もする。

 こうやって「単位」の話を見てみると、意外なことに、これまで結構身近なところで人間はセシウムやイリジウムのような物質を利用していることがわかってしまった。「だから何?」と言われてしまうと何も答えようがないが、このような「単位」の定義が、原発事故の影響を受けたりすることはないのだろうか。

 先日ニュースで、2011年10月21日にパリ郊外で開かれた第24回国際度量衡総会において、122年前の「kg」の定義の見直しを行うことが決まった、という記事をみた。この決定は別に事故とは何の関係もないが、どのような物質が基準になるのか、ということを勝手に気にかけている。

 「単位」の定義が変わったところで世の中が変わる訳ではないのだが、こういうものに21世紀の科学・技術にふさわしい何か新しい変化があるのも悪くないような気がする。

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コメント

今日の朝日新聞に、単位の定義の話があった。それによると、質量は「プランク定数」というものを使って再定義されるらしい。
もうちょっと調べてみると、ポイントは「光」を使うこと。「光速」「光子の周波数」と「プランク定数」で「1Kg」がわかるらしい。
細かいことはよくわからないが、「光」を使う、というのはちょっと新しい感じがする。

投稿: 穴田浩一 | 2011年12月 1日 (木) 10時41分

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