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2011年10月10日 (月)

Appleのプライバシーポリシー

 いよいよ今週10月12日から iCloud が始まる。また、先週は新製品 iPhone 4S 発表の次の日に前CEOの Steve Jobs 氏の訃報が報道されるなど、Apple という一つの企業だけの話かもしれないが、何となく時代の変わり目を予感させる出来事が続いているようで、複雑な思いがする。

 そんな中、今更ながらインターネットを介してデータをやり取りするところに、まだ一抹の不安が残ったままになっている。これまでブログで、google のプライバシー・ポリシーの話をしたり、辞書で調べたりしたが、それだけでは不安は解消されなかったので、今回は Apple の「プライバシーポリシー」を読んでみることにした。

 その日本語訳を見ると、まず冒頭の部分に


・「お客様のプライバシーはアップルにとって重要です。そのため、当社は、当社がお客様の情報をどのように収集、利用、開示、移転および保存するのかについて規定するプライバシーポリシーを作成しました。」


と書いてある。前にブログで google の「プライバシーポリシー」について愚痴っぽいことを書いたが、Apple の方は丁寧な言い回しなので少し安心した。

 ここで、Apple のプライバシーポリシーの中で使われている「お客様」とは、英語の原文の「you」(すなわち、文章を読んでいる一般のユーザー)の訳である。以前 google の方を調べたときは「you」という単語を、単に「ユーザー」と訳していた。

 また、google のプライバシーポリシーの日本語訳で「様」と敬称がついているのは「広告主様」「サイト運営者様」と、何らかの問題を報告した「ご本人様」の3者。まあ、文章を訳した日本の社員に限った話かもしれないが、こういった部分に Apple と google の姿勢の違いが現れているような気がする。

 Apple の方には、その次に「個人情報」の定義が次のように書かれている。


・「個人情報とは、特定の個人を特定するためまたは特定の個人に接触するために利用できるデータをいいます。」


何でもかんでも google と比べるのはどうか、という意見もあるかもしれないが、やっぱり比べてみたくなる。google の方をみると、


・「個人情報とは、ユーザーから Google に提供される個人を特定できる情報です。」


とある。同じように見えるかもしれないが、google では、ユーザーから提供されたものではない「個人を特定できる情報」は個人情報として扱われていない、と読むこともできる。さらに、英語の原文を見ると「"Personal information" is information that you provide to us ......」となっていて、直訳すると、「個人情報」は、ユーザー(=you)がgoogle(=us)に提供する(=provide) ...... の情報、となる。例えば、たまたま google の検索に引っかかった情報は、ユーザーが google に直接提供した情報ではないので、google では「個人情報」として扱わない、ということになるのだろう。

 一方、Apple の方は「Personal information is data that can be used to .......」となっていて、英語の原文でも「誰がどこへ(あるいは、どうやって)提供したかに関係なく」条件をみたす全てのものを「個人情報」として扱うことになっている。

 ここまでの数行を見ただけでも、Apple は google とは異なったポリシーを持っていることが予想できるが、実際の本文の内容も、Apple の方は具体的で、曖昧な表現は使っていないようにみえる。さらに、もう一つの違いは「Cookie(クッキー)」に関する部分で、Appleの方は、かなりのスペースを割いて詳細に説明している。

 google のプライバシーポリシーを見たときには、入力した情報の共有に関する話ばかりが気になっていたこともあるが、もう一度見直してみても「Cookie」の話は「情報を収集させて頂く場合がある」という項目の一つとしてちょっと載っているだけ。また、その文面も以前ブログで書いた通り曖昧な感じで、どうも釈然としない。

 一方、Apple の方には


・「Cookieおよびその他の技術によって収集された情報を非個人情報として取り扱います。ただし、インターネットプロトコル(IP)アドレスまたは類似の識別子が管轄法により個人情報とみなされる場合には、当社は、これらの識別子も個人情報として取り扱います。」


と、Cookieなどの技術により情報が収集されることと、その情報の扱い方が具体的に書いてある。技術的なことはよくわからないが、収集する情報を「個人情報」と「非個人情報」に区別して、「個人情報」にあたるものは保護しているようである。

 google の文面には、このような区別はなく、収集されたものは中身を問わず全て「非個人情報」として扱っているように見える。もう少し深読みすると、先に書いた「個人情報」の定義の違いは、このあたりの情報の扱い方にも関係しているかもしれない。

 Cookieなどによる情報は、ユーザーのコンピュータから直接送られるようだが、それはユーザー自身の意思で提供するものではないようである。この事実を利用して、google の方(英語の原文)では「個人情報」の定義の that 以下を「you」という主語をつけて能動態の文章にすることで、得られたものを「非個人情報」として扱えるようにした、という見方もできそうだ。

 何だか google の話が多くなってしまったが、Apple の方は素人がツッコミを入れられそうな記述は特になさそうなので、私自身がその意味を理解するためには google と比較するしかなかった、ということでもある。Apple でも集めた情報をいろいろと利用しているに違いないが、プライバシーポリシーを読んだ限りでは、Apple の方が情報の利用や扱いに対して誠実なようである。

 インターネットを利用する以上、ある程度の情報がネット上に出てしまうことは仕方がないことかもしれない。ただ、その情報が知らないところで一人歩きしてしまうことがないように気を遣う必要はあるはずだ、と常々考えている。Apple のものが完璧だとは言わないが、その考えに近いようだ、という事実がわかっただけでも以前よりは安心感が増してくる。

 まだ iCloud は始まっていないが、このプライバシーポリシーは iCloud にも適用されるだろう。ただ、それでも結局は実際に利用する側のモラルも重要な要素となるに違いない。iCloud は、単に目新しいから、というだけでなく、節度を保って利用するユーザーが安心して使える環境、という意味でも、これまでのものとは違う新しいもの、と言えるような存在になってほしい。

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追伸:
Apple とその製品のファンの1人として、Steve Jobs氏の訃報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。

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