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2011年5月 7日 (土)

正17角形の作図と本の紹介

 連休明けの今回は、久しぶりに数学の読み物の紹介をしようと思う。最近出たものではないが、「ガウスが切り開いた道」という本である。分量的には、ちょっとした休みに軽く読める程度(約130ページ)である。

 ところで、「ガウス (1777-1855)」は、「アルキメデス」「ニュートン」とならんで、歴史上の3大天才数学者の1人として紹介されることが多い。また、「ガウス」という名前は、磁石の強さ(磁束密度)の単位として使われていることからもわかるように、数学の業績ばかりでなく科学的な業績も有名である。

 この本の内容は、今回のタイトルにあるように、前半から中盤にかけての「ガウスが解いた正17角形の作図」に関する話題がメインで、後半部分はガウスの生涯や業績などを交えながらガウスの業績を紹介する、といった感じである。

 実のところ、この本の紹介を書こうと思った理由は、連休中にこの本に載っている正17角形の作図に自らチャレンジしてみたからである。実際に書くのはかなり苦労したが、何とか完成させた。

17_sakuzu

 これくらい細かい作図となると、ちょっとコンパスの針がずれたり、線がかすれたりしたことによる誤差が大きくなって、なかなかぴったりの正17角形にならない。この写真でも、1〜6と13〜17の頂点はちょっとしたズレはそれほど問題にならなかったが、7〜12あたりの頂点の位置はコンパスの芯先を削り直しながら、やっとの思いで作図した。その苦労を見せるために、ズレて失敗した線も残しておいた。

(追伸:
このブログには他にも「正17角形の折り紙作図」の話を載せています。
正17角形の折り紙作図
正17角形の折り紙作図の手順
の方も是非ご覧下さい。)

 このように、数学で「作図」というとコンパスと定規を使って図形を描く平面幾何の話であるが、「作図」が可能であるかどうかを考えることは非常に難しい。その証明のためには、実は「高次方程式」の解を調べることが鍵となる。このことを「正17角形の作図」の問題を解くことによって具体的に指摘したのがガウスである。

 それを踏まえて、この本の紹介を書いていくことにする。方程式を解く、というと「計算」や「公式」を使って考える、と思っているかもしれないが、当時は今ほど計算や公式が整備されていないので、方程式の解を調べるのは容易なことではなかった。それを理解するために、この本では最初に3次方程式に関することが書いてある。

 具体的には、ルネッサンス時代後期・16世紀のイタリアにいた「カルダノ」「タルターリャ」「フェラーリ」というの3人の主人公による、3次方程式の解法にまつわる話である。3人の性格や生活などを交えて書いてあり、この本の導入部分としてだけでなく、この部分だけでも読んでいて面白い。

 この話の後に、18世紀後半のガウスの幼少期から正17角形の作図を完成させた1796年3月30日までの話が続く。数学の話は、中高生くらいだと難し目に感じるかもしれないが、17乗して1になる数(1以外の数は複素数で、ある16次方程式の解になる)を具体的に求めるのは、これだけ難しく面倒なことだ、ということがわかるだけで十分だろう。

 この本のタイトルとなっている「ガウスが切り開いた道」は、この作図問題を解いた後、19世紀に入って、この解決に触発される形で、ガウス自身だけでなく様々な人々が数学・科学の理論を作り発展させていったことを表している。

 後半の内容は、そのことをガウスの生涯を交えながら書いてあり、40歳になる前に妻と子供を亡くし、その後再婚するも50代半ばでその妻も亡くなる、といった不幸を乗り越えながら残したガウスの数々の業績について紹介している。

 本の紹介はここまでだが、連休中にこれまでの記事のカテゴリーも再整理して、「数学」というカテゴリーを一つ新たに作った。いつも数学の話題だと読む人がいなくなってしまうかもしれないので、1〜2ヶ月に1回くらいが無難かもしれないが、たまには数学の話題も書くことにしたい。

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コメント

正17角形の折り紙による作図の手順をまとめた資料を作成しました。

投稿: 穴田浩一 | 2011年8月28日 (日) 13時18分

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